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「40才以上の方は、マンモグラフィー検診の助成があります。」
職場の健康診断のお知らせにはそう書いてある。
でもなぁ~、お金もないし、痛いって言うし、どうしようかな?
でもなぁ~、乳がんが早期発見出来なくてもいやだしなぁ~。

まだ、高校生の頃、学校の図書館で借りた本で、乳がんのドキュメントエッセイを読んだ事があった。あるライターさんが、乳がんになって手術をするまでの、自分の病状や心情を書いたものだったと思う。何と言う本か、何と言う方が書いたのか、きれいさっぱり忘れてしまったのだけれど、いくつか印象的な部分は覚えている。一つは、彼女が最終的に手術をお願いしようと決めたお医者さんの、
「術後に、胸の開いたイブニングドレスも着られる様に、乳房の一部を残して手術をしましょうね。」と言う言葉。
(彼女の乳がんはそれが可能だった様です。ケースバイケースなので、全ての乳がんで乳房の一部を残す事が出来るかは分かりません。)
もう一つは、「手術前の検査で、痛くて屈辱的な検査がある。」と言うもの。

今考えると、その「痛くて屈辱的な検査」というのは、マンモグラフィーの事だったんじゃないかと思う。ただ、もう30年近く前に読んだ図書館の本なので、検査自体は35年位前の話かもしれない。その当時電話はダイヤル式が主流だから、今の医療機器だって携帯電話並みに、えらく進歩して居るはずだ。ただ、昔の印象と言うのはなかなか頭から離れない。
「痛い」は良いとして、「屈辱的」というのは、「検査のために乳房を挟まれ、上手く写らないと、乳首を引っ張られる。」と書いてあったと思う。
えぇ~、、そんな検査いやだなぁ~。乳がんって大変なんだぁ~。(←相当、ピボケな高校生の感想)

そんな私の肩を押したのは、年下の友人のJさん。
世間話をしている時に「マンモグラフィーを受けようか迷ってるのよ」と言ったら、「あぁ!あのガーってやつね。」と胸を両手で水平に挟む仕草をした。
「全然痛くないよ。それにね、段々検査の技術が上がって来ている気がする。昔より痛くないよ。」なんと彼女は既に複数回マンモグラフィーを受けた事があり、最近は全然痛くないと言う。別の知人にも聞いて見た;事務所のAさん「痛いよ~。もう死ぬかと思った!」でも、二人とも「屈辱的」とは一言も言わない。

ちなみに私は、Bカップ。Jさんは多分私より胸は大きい。Aさんはスレンダーな美人で、胸もスレンダーだ。つまり

胸の大きさ:Aさん< 私 < Jさん 

と言う事になる。
と言う事は、・・・・

検査の感想:死ぬほど痛い< ? <全然痛くない。

?には「ちょっと痛い~それほど痛くない」が入るのではないかと思った。

あと、もう一つ私の肩を押したもの、それは、仕事仲間であり友人のKさんの子宮がん。ちょうど、年が同じで、年に2〜3回程度、仕事の依頼をしてその期間だけ濃厚に連絡を取り合う。仕事ついでに近況から愚痴まで、相当なプライベートな事も話をし、たまぁ〜〜に飲み行く程度の付き合いながら、もう知り合って10年以上立つ。
彼女が子宮がんの手術をしてからも、その関係は続いている。命あればこそ。
気分は永遠の20代でも、無理が利かなくなって来ている実感はある。年相応に危機管理をすべき年になって来たのかな?と思った。

さて、人間ドック当日、色々な検査の間に、マンモグラフィーの順番が回って来た。朝受付を済ませてから、更衣室に行き、あさぎ色の甚平のような検査衣に着替えて、レントゲン室の外で順番を待つ。名前を呼ばれて、部屋の中に入った。
中に検査技師の方(男性)が一人いた。どことなく、岩松了さんを細くした様な技師さんだ。

私の問診票を渡し、名前の確認をされる。そして、岩村了似のレントゲン技師さんが「とても、痛い検査です。」と説明してくれた。
<うん、こちらは、覚悟の上だよ。>
<とっとと、やっちまおうぜ!>
と内心思い、少々申し訳無さそうにしている、岩村了似のレントゲン技師にプチ・イライラした。
まず、検査衣の上を脱いで片方の乳房を透明な台の上に乗せる。そこから、上の方からもう一枚の透明な板が降りて来て、乳房をサンドイッチ状態にして、レントゲンを撮影するのだ。乳房を透明な台に乗せると、岩村レントゲン技師が乳房の角度を微調整した。決して乳首を持って引っ張るなどせず、両手でなるべく乳房に触らない様、方向を直す様に、こちらを即してくれる。その後、サンドイッチ状態の時に相当乳房を圧迫される。挟み込みの最後の一締めの時、「えぇ〜まだしめますか!!」と一瞬思った。でも、耐えられない痛さではない。「有り」だ。注射等の方が痛い場合がある。高校の時読んだ本のイメージと、遥かに違い、思いの外に痛い訳でなく、不愉快でもない。

反対方向の乳房を検査する時には、すでに検査した乳房を、手で覆って、写り込まない様に、後ろ側に引いておいてほしいと言われた。確かに、何もしないと、乳首が画像の中に映り込みそうな角度にある。

話はそれるが、私は、時々必要に迫られて、イベントの記録写真等を撮ることがある。カメラもレンズも何も解っていないド素人写真だ。ただ、数を撮っていると欲が出てくる。少しでも良いアングルで、良い瞬間を撮りたい。段々そう思って、場の雰囲気を壊すのでは無いかと訝りながらも、不躾な場所に立って、シャッターを切る。シャッターチャンスを狙っている時は、本当に意地の悪い目線で、周囲を見回している。

岩村レントゲン技師はプロなので、多分、「バッチリ!」なマンモグラフィー写真が撮りたいんだと思う。他のほとんどの技師さん達も。そのために、多少被験者に辛い思いをさせても、早期の乳がんを写す事が出来れば、命は守られる訳だから。

私の予想を遥かに下回る形で、「あまり痛くなくて、まるで屈辱的じゃない」マンモグラフィー検診は終わった。

その後一つだけ、良い事があった。最近、古女房のおっぱいなど、まるで興味を示さなくなった、オットの代わりに、検査で締め付けられたお陰で(?)、何を勘違いしたか、一瞬だけ乳房に張りが出た。リンパが刺激されたのかもしれない。
ちょっと、若返った気分だった。

また、定期検診の案内が来ている。
また、マンモグラフィーの検診を受けてみようと思う。
私自身と、私の家族友人達の為に。